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(妄想小説)新 桃太郎伝説…その1 [妄想小説]

「桃太君、道場行こう!」
 仲良しの犬介が、呼びに来た。
「は〜い、待って!お父さんと父、ご馳走さまでした!」
「忘れ物ないか?」
 お父さんと呼ばれた今井圭太郎が聞いた。
「あんまり遅くなちゃだめだよ!」
 続け様に、父と呼ばれた鎌田太輔が念を押した。

「大丈夫!忘れ物ないし、早く帰ってくるよ!行ってきます!」
 元気に返事して、桃太が出かけていった。
「あの子も無事大きく育ってくれたね・・・」

 全日本を3度征し、柔道場を経営しているお父さんの圭太郎と、名門大学でラグビー選手として活躍後、地元の高校で体育教師を務める父の太輔が、桃太と出会った、というか桃太を拾ったのは、13年程前のことだった。
 お互い畑違いの競技をしていた2人は、オリンピックの代表候補として集められた時に知り合った。畑違いとは言え、お互いに将来を嘱望された選手同士。しかも男だらけの世界で育った2人は、意気投合し、お互いを認め合い、尊敬しあった。そして、暇が出来るとお互いの部屋に転がり込んだ。そんな2人が、男同士のセックスに目覚めるのは、当然の成り行きだった。

 スポーツ選手と言う者には旬があり、まだまだ戦えるとは思っていたが、ちょっとしたケガが原因で、これからは後輩を育てる選択をした2人は、圭太郎の地元に一緒に戻ってきた。
 最初の頃、少しでも地元に慣れてもらおうと、暇が出来ると、圭太郎は太輔をドライブに誘った。その日は、男根の形をした男岩と呼ばれる奇岩のある渓谷へのドライブだった。
「実はさ、あまりにチンポそっくりだから男岩の方が有名やけど、本当はもう少し川を遡ったところに、おマンコに見える女岩とかマンコ岩って呼ばれてる岩があるんだ!見に行ってみる?」
「だははははははははっ!本当、圭太郎の地元ってエロい昔話好きだよね・・・。んでも、面白そう。行ってみよう!」

 2人はズボンをめくり上げ、浅瀬を慎重に渡りながら上流を目指した。その時、上流からきれいなお包みに包まれ、衣装ケースサイズのプラスチックの箱に入れられた赤ん坊が、元気な声で泣きながら流れてきた。驚いた2人は、ずぶ濡れになるのも構わず川に飛び込み、赤ん坊を救出し、すぐに地元の警察に連絡をいれた。

 その後も、発見した赤ん坊のことが気になった2人は、警察に問い合わせると、未だ身元不明で、しばらくは乳児院に預けられるだろうということを知った。その日、2人は朝まで真剣に話し合い、これも縁だと、2人で赤ん坊を引き取り、育てたいと申し出ることを決めた。
 その後、何度も養父母としての事前研修があり、身元の調査などが行われた。男同士ということで、異議を唱える者もあったが、もともと地元では有名なうえ、収入も安定しいることもあって、予想外に早い展開で、赤ん坊が二人の元にやってくることが決まった。
 二人は、喜び、早速、ミルクを用意したり、肌着やおむつのを買いそろえ、赤ん坊が来る日を待ち望んだ。

 乳児院に呼ばれ、そこで赤ん坊が渡された。初めて手にする自分たちの子ども。さっそく自宅に戻ると新しい服に着替えさせようと服を脱がした。その時、二人はあっけにとられ、そしてお互いを見つめ合い、一瞬の後に爆笑した。
「でかい!ええっ、赤ん坊なのに、この子、こんなにでかい・・・こりゃ、きっと将来は誰かを泣かせるんだろうなあ・・・(笑)」

 二人は、赤ん坊のほっぺたが、薄ピンク色で、まるで桃のようにふっくらしていたことから桃太と名付け、可愛がった。とは言え、二人の教育方針は、男は男らしくがモットーだったので、幼い頃から、ちゃんと自分の身は自分で守れるようにと、格闘技系を中心に武道を習わせた。また桃太も、お父さんと父が、毎日のように身体を鍛えている事に興味を持ち、小さい頃から一緒にウエイトトレーニングをしたがった。
 食事も、栄養価の高いものを中心にし、骨を頑丈にとカルシウムたっぷりの食事を与え、身体を鍛え続けたため、小学校に上がる頃には、周りの同級生より2〜3歳も歳上のように見えるほど大きく育った。ガタイが大きく腕っ節も強かったことから、同学年で、桃太に逆らう奴はいなかった、時々転校生で、桃太のことをオカマの息子とか、ケツの穴から生まれたとか言う奴がいたが、一瞬むっとして言った相手を見据えると、誰もそれ以上言わなかった。それもよりも、曲がったことが嫌いで、自分から喧嘩をふっかけることはなかったが、売られた喧嘩は、必ず買い、ぼこぼこに言わせた。小学4年生の時に、隣町の不良中学生に絡まれた同級生を救うため、大勢の中学生を相手に一人で戦い、助け出した話は、町中の噂になり、みんなのヒーローとして、尊敬された。それからこの近くで桃太に喧嘩を売るようなバカな真似をする奴が誰もいなくなった。

 腕っ節が強くて、喧嘩が強い桃太だったが、ひょうきんな一面もあり人気者だった。そんな桃太の大親友が、一緒に空手道場に通う犬介だ。ほかにも、雉雄と猿造という2人の親友と言う名の悪ガキ仲間がいた。
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