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(妄想小説)Firefighters 第4話 [妄想小説]

 お互いが逝くと、武士は、ベッドの上に大の字で寝転んだ。男は武士の首を抱き寄せキスを強請った。そして、いつしかウトウトと微睡んだ。しばらくして2人は一緒にシャワーを浴び、風呂に浸かった、2人で入るには小さな風呂だったが、男は武士の上から跨がり、抱きついてきた。
「俺、尾崎孝史朗って言います。今年26歳だから、たぶん兄貴よりはちょっとだけ年下かな?高校の体育教師してます。今夜は、兄貴と出会えて良かった。本当に、兄貴は俺の本理想なんだ・・・。それに、こんなに素直に感じてくれた人ってこれまでいなかったし、俺もこんなに感じたことなかった。こっちの世界じゃさ、男っぽくしてるのが良くて、んで好き勝手にケツ掘って自分だけが逝くとぽいすんのがタチみたいに勘違いしてる奴が多くてさ・・・。女みたいに感じるのが恥ずかしいっつか、恥だと勘違いしてるんだよ。俺は、自分が感じるより相手が気持ち良くなって欲しくて動く方がタチだと思ってんだ。例えそいつが、ケツマンコ使おうが、女みたいな声出そうがさ・・・。逆に、チンポ使って相手のケツ掘らせてもらってるくせに、自分だけが気持ち良かったらそれで良いって奴は、どれだけ野郎っぽいしゃべり方や格好してても女々しい女だと思うんだよね・・・。それに比べたら・・・。本当に、幸せだった。本気で兄貴の嫁さんっつか、女になりたいぐらい。ただ俺にはもう付き合って5年近くなる相方がいてさ、一緒に暮らし始めて、3年かな?去年ぐらいから、もう兄弟っつうか家族っつか、空気みたいな存在で、お互い遊ぶのは公認なんだけど・・・。でもだからこそ別れられなくて・・・」
「俺は飯田武士、28歳。ど田舎の村で消防士やってる。東京の消防学校に勉強しに来てて、卒業記念に、始めてこういう場所来た。田舎じゃあ、こういう場所あることすら知らなかったから・・・。だから男好きな奴と、こうして話すのも初めて!でもへ〜っ、東京じゃあ男同士で一緒に暮らせるんだ・・・」
「まあ、ここじゃアパートの隣の人間と関わることもないし、詮索もしないっすからね。家賃も高いし、一緒に暮らせる相方見つけると、大抵一緒に暮らすことになるかな・・・」
「そっか、それは羨ましいなあ・・・。田舎じゃあ、男同士で一緒に暮らそうもんなら、何言われるか・・・。それ以上に、そういう相手と出会う機会もないし・・・」
「んじゃ、俺と友達以上、相方未満ってのになりませんか?兄貴が東京来るような機会あったら、連絡ください!ケツ洗って待ってますから・・・(笑)それに、いつでも良いから連絡して欲しいなあ・・・俺も兄貴の声聞きたいし、話したいし・・・。兄貴は、今気になってる奴とかいないの?」
「いてもさ、もしバレたりしたら何言われるか判んねえし、取り敢えず、黙っとくしかねえんだよ・・・」
「そっか・・・、でも何かあったら遠慮無くメールでも電話でもしてきてください!俺のできる限りの事はするんで・・・。その代わり、東京来る時は、絶対に連絡して来て欲しい。別にエッチなしでも良いから・・・。ちょっと待って・・・。はい、これ俺の電話番号と、メールアドレス。相方にも兄貴のこと言っとくから、本当に遠慮無くっ!連絡くれないと浮気しちゃうぞっ!って、俺相方持ちだった・・・(笑)」
 孝史朗との出会いは、武士に新しい物事の見方を教えてくれた。それに、こんなに多くの男好きがいて、それぞれが幸せに暮らしていることを知り、心が軽くなる思いだった。

 田舎に戻ってからも、孝史朗との関係は続いた。Skypeを使い、時々孝史朗の相方の航君と話すこともあった。お陰で、ますます男が男を好きであっても良いんだと素直に思えるようになった。また孝史朗や航君との出会いを通して、自分が20代から30代の、男として一番元気な頃の男が好きだと自覚するようになった。そう考えれば昔、武士が好きだった消防士達も、当時その年代だった。そのことが職場の先輩消防士達を見る目を変えさせてくれ、段々と武士の気持ちを楽にしていってくれた。確かに先輩消防士達は、今でも憧れの先輩達であり、尊敬している人達だったが、だんだんに年齢を重ねるごとに、昔のような躍動感や精力溢れる感じは薄らいで行き、武士自身の性の対象から外れていったからだ。
 職場の先輩消防士達を見る目が変わってことで、先輩達に対して妙な親近感さえ覚えるようになった、確かに、久々に消防士の募集があった時に、おやじ連中の勧めもあって、武士は消防士になった。そのせいかおやじ連中は、口は悪いが、武士を可愛がり、ここまで育ててくれた。武士自身も、おやじ連中のお陰でここまでなれたと感謝してるが、つい売り言葉に買い言葉で、爺さん連中などと憎まれ口を叩くようになっていった。

「まあまあ、昔は消防の赤峰つうぐらい有名だったけどさ、もうワシらも無理できんようになってきたからな・・・。消防大会とかでも、ワシらが遅れた分を、武士が1人で取りもどしてくれてるお陰で、何とか面目立ってるんだぜ!武士には感謝せんと・・・」
「判ってるって!んでもまあ、はしご登りは来年も武士に頑張ってもらうとしてもよ!こうなると、これからずっと出初めは、あれやらなくちゃなんねえだろ?来年辺り、消防団の若手に手伝ってもらわなきゃ、はしご保たねえぞ!」
 消防署と言っても、山間の町の消防署で、武士を含めて5人の消防士がいるだけで、消防団に毛が生えた程度だった。そのためほとんどの火災の場合、それぞれの地域の消防団と一緒に消火活動を行うのが役目だ。もちろん町で一番新しいはしご車や消防車が揃っていたため、大きな火災になると真っ先に飛び出して行くことになるが、ありがたいことに住宅が密集しているような場所が少なく、延焼になることがまず無いうえに、水路が町中を縦横に走ってるお陰で水の確保も素早く出来、ここ数年はほとんどがぼや程度だけで収まっていた。それでも、武士が消防士になってから、10年が過ぎ、オヤジ連中も本来なら現場に出るような年齢ではなくなって来ていた。

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