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(妄想小説)Gemini -二価染色体 第1話 ▷密事 [妄想小説]

「訃報をお知らせします。
ここで皆さんに可愛がって頂いていた『Makoto』こと西田誠次郎が、昨夜交通事故のため急逝しました。32歳でした。
私は、西田誠次郎の双子の兄で西田誠一郎と申します。誠次郎の遺影探しと、遺品整理のため、誠次郎のPCを探していてこのサイトのことを知りました。
皆様に、随分可愛がって頂いていたようなので、取り急ぎお知らせします。」

 誠一郎の双子の弟である誠次郎が、バイク事故で突然死んでしまった。飛び出してきた猫を除けようとして転び、運悪くそこにトラックが突っ込んで来たようだ。病院に担ぎ込まれた時には、もう弟の意識はなく、処置することもなく医師に死亡を告げられたと聞いた。高校の体育教師になってすぐに家を出た誠一郎は、弟の事故の連絡を受け、すぐに駆けつけたが連れて行かれた先は霊安室だった。
 誠一郎は、せめて弟の笑顔の写真を遺影にと思い、誠次郎の住んでいたアパートに行った。誠次郎は、こっちの方が通勤に便利だからと言って、2年前に実家を出て一人暮らしを始めていた。
「良いのないなあ・・・。どっかにきっと良い顔した写真あるはずなんだけど・・・。あれっ?ベッドの下に衣装ケースあるぞ・・・。何だろ????えええええええっ?」
 部屋を探す内に、見たことのないSM道具や革製品、いろいろな大きさのディルドやエロ下着の入った衣装ケースをベッドの下で見つけてしまった。
「こんなにオヤジ達に見せれないよなあ・・・。誠次郎も、見られたくないだろうし・・・」
 両親にばれるのが可哀想で、誠一郎はこの衣装ケースと誠次郎の使っていたノートパソコンを自分の部屋に持ち帰った。

 自分の部屋に戻り、誠次郎のパソコンを立ち上げると、暗証番号を聞くウインドウが開いた。
「あいつのことだから、まさかパソコンまで一緒じゃねえだろうな・・・」
 高校の修学旅行で行った沖縄が大好きだった誠次郎は、バスの中でガイドさんに教えて貰ったニーニー(兄)とネーネー(姉)が大のお気に入りで、それ以降、何かあるといつでも暗証番号やパスワードは、「2121864(ニイニイヤロウヨ)」だった。持ち帰ったパソコンの暗証番号に2121864を入れたところ、無事立ち上がった。
「なんだよ!几帳面なくせに、こんなところで妙に面倒くさがるって・・・・」
 ほっとした反面、ふと涙が溢れてきた。
 誠一郎は、立ち上がったパソコンの中から、誠次郎の画像を探した。パソコンの中には、いくつかの仕事用と思われるフォルダーとは別に『その他のフォルダー』と名付けられたフォルダーがあった。そのフォルダーの一番奥の階層に、ニーニーと名付けられたフォルダーとネーネーと名付けられたフォルダーを見つけた。ニーニーと名付けられたフォルダーの中には、これまで見慣れたたくさんの誠次郎の画像や、動画が保存されていた。その中から、先週友人と出かけた沖縄でのとびっきりの笑顔の誠次郎の画像を見つけた。身長175cmで体重85kgの堂々とした体格の誠次郎が、画像の中で笑っていた。誠一郎は、この写真を葬式の際の遺影に使ってもらおうとプリントアウトし、念のため画像データをUSBメモリーに落とし、その足で葬儀場に持って行った。

 誠次郎の葬儀が滞りなく終わり、葬儀の翌日の昼までには親戚連中が帰って行った。
「俺、明日引っ越し屋が誠次郎の部屋の荷物取りに来るからさ、ちょっと戻って、あいつの部屋片付けに行ってくるは・・・」
 誠一郎は、そう言うと実家に両親を残し、着替えるために一旦自分のアパートに戻った。
 喪服を脱ぎ、ジャージに着替えると、部屋の隅に置いていた誠次郎の衣装ケースが目に入った。衣装ケースを引き寄せ、再度、中身を出してみた。革製の何本もの鞭や、麻縄、ロープ、細紐、様々なサイズのディルド、クリップや洗濯ばさみ、浣腸器に真っ赤なローソクなどの責め具のほかに、チャップスと言う革製のズボンやケツ割れサポーター、前張りが切り取られたビキニ、スケスケのパンツなどの下着などが詰め込まれていた。
「誠次郎が、こんなことに興味持ってたなんてなあ・・・」
 誠一郎は、そうため息ついた後、誠次郎のアパートの片付けに出かけた。

「もう1月程は、荷物置いといて、ゆっくり片付けて頂いても構いませんよ」
 誠次郎の人柄をよく知ってると言う大家さんは、そう言ってくれたが、あの衣装ケースみたいなものが、また出てこないとも限らず、自分が動けるのも特別休暇の3日間と、この土日だけなこともあり誠一郎は、手早く部屋を片付け、荷物を区分けした。明日には、頼んでいた引っ越し業者が、家電など大きな荷物を実家に運んでくれるはずだった。
「これでよしと・・・。後、変な忘れ物残ってないだろうな・・・」
 念のため、一通り部屋の中を確認して回った。家電以外、ほとんど残っていないがらんとした部屋には、何もなかった。ベランダに出て確認し、最期に押し入れを開き、残ったものが無いこと確認して帰ろうとした時、押し入れの天井の点検口らしい蓋が微妙に開いているのが気になった。上の段に登り、点検口を開け頭を突っ込むと、古い茶封筒があった。押し入れから出て、茶封筒の中を覗くと4枚のDVDが入っていた。家に帰って確認しようと、封筒をカバンに入れ、自室に戻った。
 
 自宅に戻り、汗をかいた身体にシャワーを浴びた。ここしばらく、ちゃんとシャワーも浴びていなかったことを思い出した。
 すっきりとした気持ちになって、腰にタオルを巻き、部屋に戻ると誠次郎のおびただしい数のエロ道具を広げたままだった。一つ一つを手に取り、衣装箱に戻した。ただ、誠次郎が履いたであろう、ケツ割れを手にした時、ふと履いてみようと思った。いや、無性に履きたくなった。
「そう言えば大学時代、こんなサポーター履いてる奴いたなあ・・・。ケツ丸出しだってからかったけど・・・」
 誠一郎は、柔道部に所属していたが、陸上部やラクビー、サッカーなどの連中の中にこのタイプのサポーターをしてる奴らがいた。元々柔道は、道着の下には何も履かないものだと思っていた誠一郎には、ケツ丸出しの奴らの姿が滑稽に思えた。だから、時々そんなサポータをしてる奴を見掛けると、からかった経験がある。
「あいつも、こんなケツ丸出しのサポーターを履いていたんだ。しかも、洗っていないのか?黄色く薄汚れ、ヨレヨレになってるし・・・。あちこちに穴まで空いてるじゃねえか・・・。なんだよこの染みっ!うへっ、なんだ小便か?ザーメンか?うっへっ、臭せえっ・・・」
 誠次郎の小便やザーメンと思える染みもあり、きつい臭いがした。だがその臭いさえも誠次郎の臭いだと思うと、妙に懐かしく思え、思わず鼻を近づけ臭いを嗅いでしまった。
「くっ、くっせえよ誠次郎!お前、なんて奴履いてたんだよ・・・」
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