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(妄想小説)体育教師の性教育授業 第1話 [妄想小説]

「はあっ、ふうーっ・・・・・」
 高野孝一郎は、鏡の前でネクタイを締めると、短く刈った髪の毛を撫で付けながら、ため息をついた。
「俺は今日から、学校の先生になる。基本的には、体育教師として中学生と高校生相手に体育の授業をすれば良い。そして部活として水球部を立ち上げ、日本一を目指せば良い。だが小学生の副担任も兼ねるとはなぁ・・・」
 孝一郎は、これまで水球の日本代表の強化選手として頑張って来たが、もうすぐ28歳になることを考えるとタフなスポーツである水球をこのまま続けるには体力も衰えてきた。選手としての寿命は、どれだけ頑張っても、もう後数年だ。それから先を考えると潮時だと思っていた。そんな折、ある有名男子校で水球部を立ち上げ日本一を目指すためのコーチにならないかと誘われた時は、正直嬉しかった。そうか、後輩を育てる側に回れば良いんだと思った。だが、現実はそうそう甘くなかった。まだ中学生や高校生相手の体育の教師なら、これまで水泳教室などでそれぐらいの世代を教えたこともあり、体育だけなのでそう難しくもないだろう。だが小学生相手にしてきた経験などなく、こんな自分に懐いてくれるのか、嫌われはしまいか、それが不安だった。
「俺に、小学生相手出来るんだろうか?校長は、子ども達の兄貴分として相談に乗るだけで良いとは言ってたが・・・」
 孝一郎は、またため息を一つついて、そして自分に活を入れた。引き受けた以上、できる限りのことをする。それだけだと自分に言い聞かせ、自宅を出た。

 孝一郎が行くことになる学校は、質実剛健・文武両道を目標に小学から高校までの一貫教育で、各学年30人2クラスと言う少数精鋭で、卒業生のほどんどが東京大学などの有名大学に進学している進学校として有名な男子校だった。ただ文武両道と言う割には、残念ながら運動面での活躍は聞いたことがなかった。たぶん校長や理事長としては、その面でも、名を馳せたいのだろう。しかし一気に有名になるためには、全国大会で優勝しなければならず、今から野球やサッカーなどで有名になるためには、多くの費用と時間が掛かることになるだろう。そこで目を付けたのが水球ではないかと思った。あまりにタフなスポーツであるがゆえ、競泳なら取り組む学校はあったが、水球部のある学校は、まだまだ少なかった。そこで目を付けられたのが、孝一郎だった。さすがに昔から有名な進学校で、就職は決まり3月になるとすべての生徒の顔写真や成績、キャラクターなどの資料が送られて来た。特に、副担任になる小学生達の資料は詳細で、早く生徒達に馴染めるようとの配慮だった。

 始業式の始まる2時間程前に学校に行くと、まず校長室と理事長室を訪ね、挨拶した。その後、副校長の案内で、高等部から順に各部の先生達に紹介された。さすが有名校だけあって、中にはテレビの番組で教育問題などを語っている有名な先生も何人かいた。だが、皆が孝一郎の父親と同じかそれ以上の年齢の先生ばかりで、孝一郎と同じぐらいの年齢の教師は誰もおらず、一番若い教師でも、孝一郎の一回り上の40歳の同じ体育教師だった。孝一郎が、挨拶に各部や施設など校舎内を案内されていると、早速噂を聞きつけた中学・高等部の生徒達が遠巻きに覗きに来た。彼らを見掛け、ちょっと手を振ったり、ウインクすると一斉に歓声が上がった。
 各部ごとの始業式が始まると、早速それぞれの部で、孝一郎が紹介された。特に高等部では、登壇した途端に、大きな歓声が上がり、孝一郎はかなり照れくさかった。孝一郎の、子ども達に対する最初の印象は、有名進学校だけあって、大人しそうで真面目だと言うものだった。
 そして、始業式が終わり、副担当となる小学部の4年1組の教室に、担任の小池先生と一緒に入った。小池先生は、国語が専門で高等部でも古典を教えており、有名な著書などもあり、あと数年後には退職を迎える60代の優しそうな先生だった。さすがに、高等部のような歓声は上がらなかったが子ども達が、自分のことを興味津々っで見つめてくるのが、少し照れくさかった。
「4年1組の皆さん、おはようございます!私がこの4年1組の担任の小池柊一郎です。そして今年からこの学校に来ることになった高野孝一郎先生が副担任として、これから1年間、皆さんと一緒にお勉強することになりました。よろしくお願いします!」
「はい!そこっ、無駄話はしない!小池先生のお話中だぞ!」
 ここは、一発噛まして置かないとと思い、小池先生のお話中もざわつく教室に活を入れた。
「いや!いや!まあまあ、新しいクラスと言うのは、ワクワクして楽しいもんですから。それに今日は、高野先生みたいな若い先生が来たものだから、みんな浮き足だっているんですよ!ついね・・・、じゃあ、高野先生も自己紹介を・・・」
 小池先生がそう諭すと、孝一郎も、ちょっとやり過ぎたかなと照れくさかった。
「はい!皆さんっ!こんにちは!高野です。これから1年皆さんと一緒にここでお勉強します。ビシビシ鍛えていきますから、必死で食らいついて来てください。なお先生は、中学・高等部の体育の先生も兼ねてますから、体育館の体育教官室が先生のいる場所です。何か聞きたいことや相談したい事があったら、いつでも遠慮無く体育教官室に来てください!普通は、小学部の子ども達が入ることはないのですが、先生の担当の生徒ですから、皆さんは特別です!いつ来ても大丈夫ですよ!んじゃ、よろしくお願いします!」

「本当に、俺だめだなあ・・・」
 子ども達に挨拶した後、体育教官室に戻ると、孝一郎は机に突っ伏した。
「最初は、もっと軽く優しくやるつもりだったのになあ。つい体育会のノリで挨拶してしまった・・・。はあっ・・・」
 孝一郎は、大きくため息をついた。学校から送られてきた資料で、それぞれの生徒達の顔と名前は覚えていた。一通り実際に見て確認できた。孝一郎が、資料の中で、目を止めた生徒が1人いた。橋本絢人だった。外交官で柔道家の父を持ち、幼い頃から柔道と水泳に親しんでいるとあった。進学校で、勉強好きな生徒が多いなか、唯一孝一郎の体育会のノリを理解してくれるんじゃないかと期待もしたし、もしかすると先々、この学校の水球部が日本一を目指す際の中心人物になるかもしれないと思うと、正直早く絢人がどんな泳ぎをするのか見てみたいと思った。
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